グラフで見る所得税(税額と実際の所得税率) Ver.2 最高税率45%対応版

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以前、「所得税額と実際の所得税率をグラフにしてみた」という記事を書きました。これは法律だけ見ていると 2000 万儲けてたら所得税 40% !とか思ってしまうけど、実際の税率はそんなに高くないんだよ、というお話です。

今回はそれに加え、平成 25 年度税制改正で決まり、平成 27 年(2015 年)から適用される「4,000 万円以上 45%」という税率も含めて再度実質の所得税率を見ていきます。

所得税の税率に関してはタックスアンサーの「No.2260 所得税の税率」を見るといいでしょう。

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所得税の計算

まず、大前提として所得税の計算は下記の式で求めます。

課税所得金額 × 所得税率 - 控除額 = 年間所得税額

課税所得金額とは

ここで課税所得金額というのがミソですが、これは収入金額からいろいろな所得控除(所得税の控除額とは別モノ)を除いた額になります。だから、年収 500 万円の人であっても 500 万円 × 20% - 427,500 円で「げ!俺50万も税金とられてんの?!」などと焦る心配はありません。

単なるサラリーマンで、家族もおらず、生命保険も払っていない人でも収入 500 万円なら 154 万円の給与所得控除があります。会社は社会保険に加入しているでしょうから、さらに社会保険料控除も適用されて、実際の課税所得金額は 250 万前後、というところでしょう。というわけで所得税は 250 万円 × 10% - 97,500 円 ≒ 15 万円ということですね。

さらに家族を扶養に入れたり、生命保険を払ったり、401k に加入したりしていけば、どんどん課税所得を減らすことができます。まぁその辺は節税関係のブログでもググってください(笑)

以後この記事にでてくる「課税所得金額」は収入からすべての所得控除を差し引いたあとの所得金額を指します。

所得税率と控除額とは

所得税の税率と控除額はこの表のようになっています。赤字の部分が平成 27 年の所得税から適用される部分です。

課税所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

所得税の第二のミソがこの控除額です。課税所得金額に単純に所得税率をかけて出した金額からこの額が差し引かれます。さっきの 500 万円の人の例で言えば 427,500 円がそれに当たります。残った金額が実際の所得税額です。これがあることで所得税の税率が上がる金額付近での急激な税額変化を軽減しています。

ただし、これがあるために法律で規定されている名目上の所得税率に相当する税額を納めている人はいないのです。

結局税率は何パーセントなのか

では実際に課税所得金額と実際の所得税率の関係を見てみましょう。まず、課税所得 2000 万円までのグラフです。
課税所得 2000 万円というと給与所得だけで生きているサラリーマンならよほどの大企業か役員クラスだと思いますので、私を含めこのページを見るほとんどの人がこの範囲でしょう。

課税所得 2000 万円までの所得税と実質税率のグラフ

課税所得 2000 万円までの所得税と実質税率のグラフ

横軸が課税所得金額、左の縦軸が所得税額(青色のグラフに対応)、右の縦軸が実際の所得税率(黄色のグラフに対応)です。
上の方のピンクのパーセントはその金額範囲における名目上の所得税率です。

法律通り、195 万円、330 万円、695 万円、900 万円、1800 万円で折れ線の傾きが変わっていることがわかります。先に述べた控除額があるため、名目よりは低い率になっています。

200 万円ずつ取り上げてみるとこんな感じです。

200 万円の場合、名目税率は 10% ですが、実質税率は約 5% です。
400 万円の場合、名目税率は 20% ですが、実質税率は約 9% です。
600 万円の場合、名目税率は 23% ですが、実質税率は約 15% です。
800 万円の場合、名目税率は 40% ですが、実質税率は約 26% です。

最高税率引き上げで影響を受けるのは?

最初に述べましたが、平成 27 年(2015 年)から 4,000 万円以上の課税所得には 45% の所得税が課されます。住民税 10% と合わせるとなかなかヘヴィーな税率です。「富裕層」というよりは「高所得者層」だと思いますが。

これを含め、課税所得(横軸)を 100 億円(!?) まで延長したものが下のグラフです。

実質税率のグラフ

実質税率のグラフ

あまりに桁が大きいので金額の軸は対数軸にしています。色の濃いほうが平成 26 年まで、薄い方が平成 27 年以降です。黄色で囲った部分は上で紹介した 2000 万円までのグラフのほうが詳しいので説明は省いています。

4000 万円から税率が変わるのがわかりますが、これだけでどれだけ税収が増えるのかというと・・・ほとんど効果はないでしょうね(笑)。「高所得者の課税をきつくしましたよ!」というパフォーマンスでしょうか。

実際に名目通りの 45% の税金がとられるのは、所得がだいたい 50 億円から上の人です。そんな額を個人所得としてもらう人間がいるのか疑問ですが、とりあえず計算上はそんな感じです。(まぁ 1 億円程度から近いぐらいの税率にはなりますが)

一番人口が多いと思われる 200 万円~ 2000 万円のあたりで急激に率があがり、それ以上になると飽和していくようになっています。うまくできています。

まとめ

まとまりのない記事ですが、一応まとめておくと…

  • 日本は累進課税!稼いだら税金を払いましょう
  • 所得税の計算は課税所得金額と控除額がミソ!
  • 来年から 4000 万円以上の所得には 45% かかるよ!!

となります。

最後までお読みいただきありがとうございました m(_ _)m

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