比較:海外ドラマ視点で見るAmazon Fire TVと新しいApple TV
さて、前回は第3世代Apple TVとFire TV Stickを比較しました。今回は上位機種であるAmazon Fire TVと、新しいApple TVを比較してみます。
目次
比較対象を再確認
形は違えど、Fire TV Stickには第3世代Apple TVこそライバルだ!というのが、前回の記事でした。
しかし、スペックの高い「Amazon Fire TV」と比較すべきはやはり先日発表されたばかりの「新しいApple TV」でしょう。どちらも同じ箱型で、音声認識を搭載し、ゲームまで楽しめる高スペックとなっています。
ちなみに「新しいApple TV」とは2015年9月9日に発表されたApple TVのことを指します。これに対し「第3世代Apple TV」とは2012年3月16日に発売されたApple TVを指します。こう見ると実に3年半ぶりのアップデートだったのですね。
早速比較してみる
まずは前回と同じく、全体的な比較表から。
Amazon Fire TV | 新しいApple TV (第4世代) |
|
---|---|---|
価格 | 12,980円(税込) | 16,800円(税込、32GBモデル予想) 23,880円(税込、64GBモデル予想) |
発売日 | 2015年10月28日 | 2015年10月下旬 |
音声認識 | ◯ | ○ |
リモコン | Amazon Fire TV Remote 押しボタン式、単4電池式 |
Siri Remote タッチ式+ボタン式、充電式 (Lightning) |
スマホでリモコン | ◯ Fire TVリモコンアプリ |
◯ Remote |
寸法 重量 |
115 x 115 x 17.8 mm 270 g |
98 x 98 x 35 mm 425 g |
リモコン寸法 | 150.7 x 38.4 x 16.7 mm 68 g |
124 x 38 x 6.3 mm 47 g |
ビデオ出力 | 2160p (30fps)、720p/1080p (60fps) | 1080p |
オーディオ出力 | Dolby Audio 5.1 | Dolby Digital 7.1 |
インターフェイス | HDMI 1.4 | HDMI 1.4 |
有線LAN | 10/100BASE-T | 10/100BASE-T |
Wi-Fi(無線LAN) | 802.11a/b/g/n/ac (MIMO) | 802.11a/b/g/n/ac (MIMO) |
Bluetooth | 4.1 | 4.0 |
対応する日本のビデオ配信サービス | Hulu、YouTube、Netflix、niconico、Amazonプライムビデオ | Hulu、YouTube、Netflix (未定) |
スマホ等からのミラーリング | Miracast | iOS(AirPlay) |
プロセッサ | MediaTek クアッドコア + GPU Power VR GX6250 |
Appleデュアルコア64ビットA8チップ |
ストレージ容量 | 8GB microSD |
32GB / 64GB |
RAM | 2GB | 2GB |
ビデオフォーマット | H.265、H.264 | H.264、MPEG-4、Motion JPEG(M-JPEG) |
オーディオフォーマット | AAC-LC, AC3, eAC3 (Dolby Digital Plus), FLAC, MP3, WAV, Vorbis | HE-AAC(V1)、AAC、MP3、MP3 VBR、Apple Lossless、AIFF、WAV |
価格
まず、価格はFire TV Stickと同じく、Amazon Fire TVの勝ちです。
対する新しいApple TVは32GB版でも140$(1$=120円として16,800円)と決して安いとは言えません。全機種の第3世代が1万円前後だったことを考えるとスペックが上がったとはいえ、少々値上がりしすぎな感は否めませんね。
デザイン
ざっくり言って、Amazon Fire TVは「角形・平べったい」、新しいApple TVは「丸型・コンパクト」な感じでしょう。個人的には本体はApple TV、リモコンはFire TVが好みです。
いずれも黒で統一されていて、無難な印象ではあります。後発のAmazon Fire TVが先発のApple TVを意識していることは間違いなさそうですね。
音声認識
どちらも音声認識に対応しています。Amazon Fire TVの音声認識は未知数ですが、AppleのSiriさんはすでにiPhoneで採用されているため、定評があります。第3世代Apple TVでは文字を入力してコンテンツを検索するのは現実的ではなかった(特に日本語)ので、うれしいところです。ただまぁリビングでリモコンに向かって「ウォーキング・デッド」とか話しかけてる姿はややシュールですが。
現在わかっている範囲で違いをあげるとすれば、横断検索(串刺し検索)でしょう。新しいApple TVではiTunesライブラリやHulu、Netflixなどをひっくるめて検索できることが発表されていますが、Amazon Fire TVはできないそうです。これはできればあったほうがいい機能の一つですね。このへんはやはりAppleに一日の長があるということでしょうか。
Siriによる検索はNetflixやHulu、映画、iTunesのテレビ番組、Apple Music などあらゆるコンテンツを横断検索することができます。検索ワードは俳優名やジャンルでもOK。
— 速報:新Apple TV 発表。tvOS搭載、タッチ操作リモコンにSiri検索、アプリ対応など盛りだくさん – Engadget Japanese
ただし音声検索できるのはAmazonビデオやプライムビデオのコンテンツやアプリのみ。YouTube動画のタイトル等まで串刺しでは探せません。
— 速報:アマゾン、Fire TV Stickを国内発売。プライム登録で実質980円、定価4980円。NetflixやHulu、Amazonプライム・ビデオ対応 – Engadget Japanese
Wi-Fi
いずれも802.11a/b/g/n/acに対応しており、デュアルバンド・デュアルアンテナ(MIMO)にも対応しています。
どちらも対応のWi-Fi環境があれば快適に動画視聴できそうです。
プロセッサやRAM、ストレージ
ハードウェアスペックはいい勝負です。プロセッサはAmazon Fire TVがクアッドコア、Apple TVがデュアルコアですが、性能差がどれほどあるかは不明です。OSやソフトによっても変わってくるので、プロセッサの差が体感できることはまずないと思われます。
ストレージはAmazon Fire TVの8GBに対し、Apple TVが32GBと64GBから選べます。MicroSDなどに頼らず内蔵ストレージを大きくしてくるあたりはAppleらしいですが、ユーザーから見ればMicroSDやUSBで容量を拡充できるAmazon Fire TVの設計のほうが親切かもしれません。
いずれにしても海外ドラマなどはストリーミング配信が多いのでストレージはあまり重要視する必要はないでしょう。ゲームをバンバンやりたい方は別ですが。
4K対応
Amazon Fire TVは4Kに対応しています。どれだけの人が対応テレビをもっているかわかりませんが、何年か後には標準になっていくでしょうから、対応していて損はないですね。
ただ、現在のところ肝心の配信動画自体が4K対応していないことが多いので、あまり恩恵はないかもしれません。動画配信サービスではNetflixのみが4Kに対応しています。
インターフェイス
これはあまり差がないのですが、前述のとおり、Amazon Fire TVはMicroSDやUSBに対応しています。新しいApple TVは実にシンプルです。どちらも有線LAN(Ethernet)端子を装備しているので、Wi-Fiがイマイチなリビングでも安心です。
一つ、個人的に重要だと思うのは、電源コードです。上の図でもわかるようにAmazon Fire TVはACアダプタを差すようになっていますが、Apple TVは第3世代と同じくメガネコード、つまり本体に電源を内蔵しています。これがなにを意味するかというと、Amazon Fire TVはACアダプタが邪魔ということです。ただでさえ配線がごちゃごちゃしがちなテレビ周り、ACアダプタがコンセントをふさいでほしくはないですよね。
対応する動画配信サービス
この「対応する」というのは「単体(+テレビ)で視聴可能な」という意味です。
HuluやNetflix、YouTubeといったサービスはどちらも見られますので、支障はないと思いますが、Amazon Fire TVのアドバンテージはやはり自社の動画配信サービスであるAmazonプライムビデオの対応でしょう。
今のところ新しいApple TVは対応しそうにないので、単体でAmazonプライムビデオを視ようと思えばFire TV一択でしょう。
ミラーリング
Apple TVを使っている人が便利だと思う機能にAirPlayがあると思います。これはiPhoneやiPadのスクリーンをWi-Fi経由でそのままテレビに映すことができ、動画などもそのままテレビで再生できてしまう機能です。
これによって、Apple TVにもともと入っていないdTVやAmazonプライムビデオ、さらにはiPhone内の動画までテレビで見ることができます。
Google、MicrosoftなどはこのAirPlayの対抗技術であるMiracastを推しており、Amazon Fire TVもMiracastに対応していますので、Android端末から同じことをするにはAmazon Fire TVのほうが有利ということになります。
逆にiPhoneやiPadからMiracastで転送することはできませんので、iOSユーザーでテレビに転送したい場合はApple TVということになります。
まとめ
比較の結果、価格差もあるのでAmazon Fire TVが優勢ですかね。Appleもここまで価格を上げるのであれば、もっとがんばってほしいところですね。
ん??ひょっとして海外ドラマ視点だと…安くなった第3世代Apple TVがベスト・バイ…?!いや、でも串刺し検索はほしいな…。第3世代Apple TVユーザーがどちらかに買い換えるモチベーションとなるかはちょっと怪しいところです。
Amazon Fire TVを買うと幸せになれる人
- 4Kテレビをもっていて性能を発揮したい人
- Androidユーザー(Miracastしたい人)
- テレビだけでAmazonプライムビデオを見たい人
新しいApple TVを買うと幸せになれる人
- iPhone、iPadユーザー(AirPlayしたい人)
- Siriが好きな人、音声検索で横断(串刺し)検索したい人
参考
Fire TV Stickに関するリンク
- Amazon Fire TV – Amazon
- ニュース – 4K対応の「Amazon Fire TV」を1万2980円で発売、プライム会員向け動画配信も拡充:ITpro
- 価格重視! アマゾンがテレビで動画を見る端末「Fire TV」を作ったワケ – 日経トレンディネット
- アマゾンの「プライム・ビデオ」&「Fire TV」が起こす静かなリビング革命に惚れそう : ギズモード・ジャパン